レキシントン−次の世代のField of Dreams

October 16, 2004

"Field of Dreams"、アメリカとベースボールの歴史を感じられるさわやかな映画です。さて、ここレキシントンの少年達も、土日はヘルメットをかぶって、バットを振り回し、スライディングによって真新しいユニフォームについた泥を払う、・・・と言いたいところですが、21世紀に入った現在は状況はいささか違っているようです。バスケットボール?アメリカンフットボール?アイスホッケー?、いや、サッカーなのです。多くの男の子も女の子も、長い夏休みの間、また学校のある期間でも土曜日の朝など、グラウンドでサッカーを習っています。

Next Field of Dreams 右の写真は、2004年10月、紅葉がはじまる一歩前のある土曜日朝の光景です。手前に広がるのはピッチャーマウンドです。そこには誰もいません。奥のほうでたくさんの子供たち(日本で言えば小学生)はみなサッカーをしています。200人を超える子供たちが、ユニフォームとしているTシャツのカラーで色分けされた20ほどのチームに分かれて、試合をしています。このサッカーはただで寄せ集まっているのではありません。みんな親の車でグランドまで来て、サッカー教室(全8回で85ドルほど)に入っているのです。犬を連れて、折りたたみイスを持って観戦する、そんな親の姿があります。

Ball Donation 写真はそこでみんなが使っているボールです。地域とのつながりを重視しているCITIZENS BANKというこの辺にある銀行が、寄付したボールです。お祭りのときなどもCITIZENS BANKがプレゼントしたりしているのを見ることがあります。しっかりした皮製で、日本では2000〜3000円はするかもしれません。CITIZENS BANKが、中国でかりに2万個発注してして、ひとつ5ドル程度とすれば、100万ドル(およそ1億円超)、子供たちの心と記憶に残る、安く効果的なメセナ活動ですね。 ボールはもらい、有料のサッカー教室に入り、車でそこまで来て、きれいな芝生の広いグランドでサッカーをやる、アメリカ的なサッカーの吸収でしょうか。試合後、自主練習、あるいは家までランニング、・・なんて誰もしていません。次の習いモノへと向かうの子供も多いでしょう。豊かな社会の子供たちです。

1994年に開催されたアメリカ・ワールドカップの影響も大きいのでしょう。女子サッカーも盛んです。今年のアテネオリンピックでは女子サッカーは金メダルの実力ですし。ですが、ベースボールの人気に陰りがあるということではないと思います。今は、Boston Red SoxのTシャツを来ながら、リーグ優勝決定シリーズで宿敵(でもいつも最終的に負けている)N.Y. Yankeesをやっつけるよう応援しながら、休みの日にはsoccerをする。そのような状況です。夕方、暗くなり始めたグランドで、照明をつけて社会人のベースボールの試合をしているのを見ることがあります。まみれて観戦していると、ああアメリカにいるのだなあと思います。Field of Dreams、子供達の夢とフィールドに見られる光景は数年後には変わるのかもしれません。


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