世界に唯一の鉄工芸の美術館

January 8, 2007

2006年11月よりParisに来ていますので、世界に唯一の鉄製品の美術館、鉄工芸美術館(Musee le Secq des Tounelles)を紹介します。それはたくさんのMuseeが集積しているParis市内ではなく、北西の方角へ列車で1時間ほどいったRouen(ルーアン)というノルマンディーの古都にあります(Office de Tourisme de Rouenに観光情報があります・・世界に唯一とはそこで紹介されている情報によります)。

なぜ鉄細工なのでしょう?パリでの生活の立ち上げに苦労して一息つきますと、その街並みの中で小さなベランダや窓枠、フェンスあるいは玄関などあらゆるところに古く美しい鍛鉄(wrought iron)に目を奪われます。日本でみるそれは、危険から守り外部からの進入を防ぐ、その本来の機能性になにものをも加えないよう、可能な限りその存在を消すことを運命付けられているようです。ここパリでは白に塗られるのではなく、軽いアルミに置き換えられるのでもなく、黒く深くそして重い鍛鉄で作られ、ひとつとして同じものは存在しないと思わせるほどに多様なデザインを生み出しています。日本のそれとは対照的に、本来の機能を感じさせないほどに主張することを運命付けられているのです。

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鉄工芸美術館には町中に見出される鉄柵のようなものの、錠前、看板、扉叩き、工具、装身具、裁縫・服飾用具など多彩な工芸品が展示されています。場所は古都ルーアンの駅を降りて目の前の大通り(ジャンヌダルク通り:Rue Janne D'arc)を5分ほど下ったところの左側に少し入ったところ、クロード・モネの描いたルーアン大聖堂かと思わせるような建物の中にあります(実際の大聖堂はそこから5分ほど歩いたところです)。写真は建物、入り口、その内部の雰囲気(二枚)を紹介しています。最後の写真は、13世紀の製品という入場してすぐの右手にあるメインの展示品のひとつです。これは別格品ですが・・・ただ圧倒されます。2006年5月にチェーンスモーカーを辞めて一本も吸っていませんが、どこに行ってもアンティークショップを覗く習慣はなかなか絶てません。ここフランスでのターゲットは、鉄工芸、それに決まりです。

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慶應義塾大学産業研究所
野村浩二


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